「営業代行に任せれば売れる」は本当か――外部に任せる前に整理すること
営業代行・営業支援は、任せきりでは機能しません。最初の数社は社内で売り、その経験をもとに横展開で外部の力を借りる。依頼前に決めておくことを、bizmote代表の山岡大介が支援経験から整理します。

この記事のポイント
- 営業を外部に任せても、依頼する側の意思決定と連携は必要になる。
- 最初の数社に売る経験は社内で持ち、その先の横展開で外部の力を借りる。
- アポイント数だけで評価せず、受注と継続利用から営業活動を逆算する。
この記事の目次
成果を分けるのは、依頼する側も一緒に動けるか最初に仮説を固め、顧客の反応で磨いていく最初の数社に売る経験は、社内で持ってほしいアポイントが増えても、営業の時間を奪うことがある受注と継続利用から、獲得したい顧客を考える外部に任せる前に、社内で決めておくことよくある質問営業代行を依頼する前に必要なのは、最初に売る顧客と価値の仮説、依頼する側の判断担当者、受注後まで見た評価基準です。人手を増やすことと、売れる理由を見つけることを分けて考えます。
この記事では、営業活動を外部に任せるタイミングを検討している経営者・事業責任者に向け、bizmoteの支援経験から準備と連携の論点を整理します。戦略の前提から考えたい方は、GTM戦略と顧客価値・継続利用の考え方を先にお読みください。
「営業は任せるので、とにかくアポイントを取ってきてください」
営業支援の相談をいただく中で、こうした期待を寄せられることがあります。新規開拓に手が回らない。営業の人員が足りない。外部の力を借りて、事業を前に進めたい。その気持ちはよく分かります。
ただ、率直に言うと、アポイントの数だけを求められ、その後は任せきりになる形では、私たちはうまく機能できません。
これまでにも、依頼する側が打ち合わせや改善にほとんど参加せず、私たちだけが営業活動を進める案件を経験してきました。私自身、その形でうまくいったという実感はありません。
一方で、代表や事業責任者が毎週の打ち合わせに参加し、顧客の反応をもとに一緒に判断してくれる案件は、前に進みやすいと感じています。
外部に営業を任せるとき、何を準備し、どのような関係をつくるべきか。bizmoteの支援経験から整理します。
成果を分けるのは、依頼する側も一緒に動けるか
営業支援では、私たちが顧客へアプローチし、その反応を依頼元へ持ち帰ります。
「この訴求では関心を持ってもらえない」 「想定していた課題よりも、別の課題の方が強そうだ」 「商談にはなるが、この点が理由で検討が止まる」
こうした情報が集まったとき、次の判断が必要になります。対象企業を変えるのか。伝え方を変えるのか。提案内容や提供範囲を見直すのか。
営業スクリプトの調整は私たちでもできます。ただ、サービスの仕様、価格、対応できる範囲などは、依頼元の判断が欠かせません。
ここで相談への回答が返ってこないと、営業活動から得た情報を次の打ち手に反映できなくなります。活動は続いていても、同じ理由で断られる状態から抜け出せないのです。
私たちの経験では、代表や事業部長など、事業を理解し判断できる方が毎週の打ち合わせに参加してくれる案件は、改善を進めやすくなります。顧客の反応を共有したその場で、次に試すことを決められるからです。
大切なのは、会議への出席そのものではありません。現場の情報を受け止め、判断し、必要な対応を進めることです。
営業を外部に任せる場合も、依頼する側にその役割を担う人は必要です。
最初に仮説を固め、顧客の反応で磨いていく
bizmoteでは、営業活動を始める前に、まず仮説を整理し、訴求を絞り込みます。
誰が、どのような状況で困っているのか。その課題に対して、何を提供できるのか。相手が話を聞く理由はどこにあるのか。
「幅広い企業に役立ちます」という説明のままでは、アプローチ先も伝え方も曖昧になります。最初に届けたい相手と、強く伝える価値を決める必要があります。
その仮説をもとに営業活動を始めると、さまざまな反応が返ってきます。
想定していた課題が、相手にとっては優先度の低いものだった。反対に、説明の中で補足した内容に強い関心を示された。部署によって、同じ言葉の受け止め方が違った。
私たちは、こうした反応をもとにスクリプトや訴求の仕方を調整していきます。
最初に仮説を固めることは、その仮説を変えないという意味ではありません。何を試した結果、どのような反応があったのかを分かるようにするためです。
この改善を続けるには、顧客と接する私たちと、事業やプロダクトを理解している依頼元の両方が必要です。二人三脚で取り組めるかどうかが、営業支援の成果に関わってきます。
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最初の数社に売る経験は、社内で持ってほしい
相談の段階で、営業支援をお断りしたこともあります。
例えば、まだプロダクトがなく、「これからこういう事業を始めたい」という構想段階で、営業をすべて任せたいと相談された場合です。
その段階では、まず経営陣や開発メンバーが顧客と向き合い、数社に試してもらう、あるいは買ってもらう経験を持ってほしいと考えています。
顧客は本当にその課題に困っているのか。今の提供内容で解決できるのか。どの部分を評価し、どの部分に不満を持つのか。
こうした情報は、営業方法だけでなく、事業やプロダクトをつくる判断にもつながります。特に初期は、顧客の言葉を受けて、その場で提供内容を考え直す必要も出てきます。
その経験がないまま営業をすべて外部に任せると、何が原因で売れないのかをつかめず、費用だけがかかってしまう可能性があります。
もちろん、数社に売れたからといって、売り方が完成したわけではありません。紹介や個別対応によって成立した受注かもしれません。
それでも、実際に選んでくれた顧客がいれば、購入理由や利用状況を出発点にできます。
「何社かに売れた。ここから横展開したい」 「似た課題を持つ別の業界にも広げられないか」 「この市場と、あの市場のどちらに可能性があるか」
こうした段階で、営業活動を通じて次の市場を探る。そのタイミングなら、私たちのような会社に支援を依頼する意味があると考えています。
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アポイントが増えても、営業の時間を奪うことがある
「100件のアポイントを獲得します」 「アポイント1件あたりの単価は、この金額です」
営業代行を比較するとき、件数や単価は分かりやすい指標です。ただ、その数字だけで良し悪しを判断することには疑問があります。
私たちのお客さまでも、マーケティング側の目標として「40件、50件のアポイントがほしい」と求められたケースがありました。しかし、獲得したアポイントから受注がほとんど生まれない、という状況も経験しています。
アポイントが入れば、商談担当者は事前に調べ、面談し、記録を残し、次の対応を考えます。
相手の課題が曖昧だったり、提供するサービスと合っていなかったりしても、その時間は必要になります。結果として、営業担当者は忙しくなるのに、受注につながる商談は増えていない。そういう状態が起こります。
それでも「アポイントを取れた」ことだけが成功として評価されると、同じ活動が繰り返されます。
問題は、アポイント数を確認することではありません。その後に何が起きているかを見ず、数だけで評価を完結させてしまうことです。
商談で課題を確認できたのか。提案に進んだのか。進まなかった理由は何か。商談担当者からの情報を、次のアプローチへ返す必要があります。
受注と継続利用から、獲得したい顧客を考える
受注できたとしても、すぐに解約されるなら、営業活動の前提を見直す必要があります。
私自身、アポイント獲得や受注を追う一方で、その後の継続につながらず、良くない循環に入ってしまう会社を見てきました。
顧客は、なぜ買ってくれたのか。実際に使って、期待した価値を得られたのか。使い続けてくれる顧客には、どのような共通点があるのか。
そこから逆算して、アプローチ先や訴求を考えることが大切です。
例えば、受注しやすくても導入後に使われない顧客と、検討には時間がかかるものの継続して活用する顧客では、事業にとっての意味が異なります。
営業時の説明が、導入後の実態と合っているかも確認したいところです。契約を取るために期待を膨らませれば、その差が導入後の不満につながる可能性があります。
継続利用には、プロダクトや導入支援なども関わります。営業だけで決まるものではありません。だからこそ、営業の現場にも利用状況を戻し、どの顧客へ、どのように届けるかを更新していく必要があります。
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外部に任せる前に、社内で決めておくこと
営業支援を依頼する前に、次の五つを確認してみてください。
- 最初の顧客に売った経験と、選ばれた理由を共有できるか。
- 次に試したい顧客層と訴求の仮説があるか。
- 定期的な打ち合わせで、判断と対応を担う人が決まっているか。
- 商談結果や失注理由を、外部の営業担当者にも共有できるか。
- アポイント数に加え、受注や継続利用まで確認する体制があるか。
すべての答えが固まっている必要はありません。分からないことを共有し、一緒に確かめていける状態が大切です。
営業の実行を外部に任せることで、社内の手が足りない部分を補い、新しい市場への接点を増やすことはできます。その力を成果につなげるには、依頼する側も判断と改善に参加する必要があります。
私たちが力を発揮しやすいのは、最初の顧客に売った経験をもとに、次の市場を一緒に探り、顧客の反応を受けて動ける関係です。
bizmote株式会社のGTM支援「bizFlag」は、数社への販売・導入実績があり、次の市場展開に進みたいBtoBスタートアップと大企業の新規事業を対象に、市場・顧客の選定、価値提案、購買プロセスの設計から商談の実行、社内への定着までを担います。
「任せたから、あとはよろしく」で終わらせず、次に何を変えるかを一緒に決める。その積み重ねが、受注し、使い続けてもらえる顧客との出会いにつながると考えています。
bizFlag / 関連する支援
GTM戦略を、自社の営業で実行できる形へ
市場・顧客・訴求の整理から検証・営業実行まで。bizFlagの支援範囲と進め方を確認できます。
bizFlagのGTM支援を見るよくある質問
まだプロダクトや導入実績がない段階でも、営業を外部に任せられますか?
構想段階で営業をすべて外部に任せることは、おすすめしていません。その段階では、まず経営陣や開発メンバーが顧客と向き合い、数社に試してもらう、あるいは買ってもらう経験を持ってほしいと考えています。bizmoteのGTM支援「bizFlag」も、すでに数社への販売・導入経験があり、次の市場展開に進みたい事業を対象にしています。
外部の営業支援は、どのタイミングで依頼するとよいですか?
「何社かに売れた。ここから横展開したい」「似た課題を持つ別の業界にも広げられないか」といった、営業活動を通じて次の市場を探る段階です。実際に選んでくれた顧客がいれば、購入理由や利用状況を出発点にできます。
営業代行や営業支援が機能しにくいのは、どんなケースですか?
依頼する側が打ち合わせや改善にほとんど参加せず、営業を任せきりにする進め方と、アポイント数だけを成果として求める進め方です。サービスの仕様、価格、対応できる範囲などは依頼元の判断が欠かせないため、判断する人がいないと、営業活動から得た情報を次の打ち手に反映できません。
営業代行を依頼する前に、社内で何を準備すればよいですか?
最初に売る顧客と価値の仮説、依頼する側の判断担当者、受注後まで見た評価基準です。あわせて、最初の顧客に売った経験と選ばれた理由を共有できるかを確認してください。すべての答えが固まっている必要はなく、分からないことを共有し、一緒に確かめていける状態が大切です。
営業代行はアポイント数で評価してよいですか?
アポイント数を確認すること自体は問題ありません。ただし、その後に何が起きているかを見ず、数だけで評価を完結させると、受注につながらない商談に営業担当者の時間が使われることがあります。商談化、提案、受注、継続利用まで確認し、その結果を次のアプローチへ返すことが大切です。
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